全身の組織の強化にビタミンC
基本的な働き/鉄分吸収促進
ビタミンC(アスコルビン酸)は、コラーゲンと呼ばれる線維状のたんぱく質を作るときに不可欠のビタミンです。コラーゲンとは、細胞の間を埋めている「結合組織」の主成分で、体内のたんぱく質の3分の1を占めています。このコラーゲン合成を高めるビタミンCの働きは、血管や骨、軟骨、筋肉、皮膚などを丈夫に保つのに欠かせないものです。
またビタミンCは、鉄の吸収を促す働きもあります。鉄は赤血球の中で酸素を運ぶ役目をしているたんぱく質(ヘモグロビン)の構成成分ですが、不足しやすい栄養素で、食事情がこれほど豊かな日本でも、特に若い女性では鉄欠乏の人が意外に多くみられます。
鉄欠乏を防ぐためには、鉄の補給とともに、ビタミンCの働きも必要です。食品中の鉄は、動物の肉やレバー、赤身の魚に含まれる「ヘム鉄」と、植物性食品や卵などに含まれる「非ヘム鉄」とに分類できますが、非ヘム鉄は、体内に吸収されにくく、ほかの成分の吸収阻害を受けやすいことで知られています。ビタミンCは、この非ヘム鉄の吸収を高める作用があるのです。
ビタミンCが体内に十分あれば、鉄の吸収が2~4倍に上昇し、鉄欠乏性貧血の予防と改善に役立ちます。
欠乏症/壊血病、骨形成不全
ビタミンCが欠乏すると「壊血病」が発生します。壊血病は毛細血管がもろくなって歯ぐきから出血する病気ですが、これはビタミンCの欠乏でコラーゲン合成が低下するためです。
また、幼児のビタミンC欠乏としては、助骨がふくれて数珠状になる「メルロー・バーロー病(バロウ病=イギリスの医師の名前から)」が知られています。コラーゲンは、骨の重量の約20%を占め、骨の主要な構成成分でもあるので、Cが欠乏すると骨の形成不全につながるのです。
上手な取り方/野菜は生よりゆでる
ビタミンCは、人やサルなどの霊長類では体内で合成できないので、食べ物から摂取しなければなりません。ビタミンCの栄養所要量は、成人で100mgとされています。新鮮な野菜(もちろん緑黄色野菜も)や果実は、最高の補給源です。
Cが水に溶けやすく熱に弱い性質をもつことから、加熱調理より生野菜のサラダのほうがCの補給に有効と思われがちです。しかし、調理時の損失分(平均50%程度)を考慮しても、加熱したほうがカサが小さくなって多量にとれるので、むしろ加熱調理のほうがビタミンCをたくさんとれます。
なお、喫煙者では、ビタミンCの消費量が通常以上に多くなっています。禁煙するのが第一ですが、それができないときはビタミンCの豊富な食品を積極的に食べることが大切です。
ビタミンC含む食品(mg/100g当たり)
《いも・種実・豆類》 | |
じゃがいも | 35 |
くり | 33 |
さつまいも | 29 |
ぎんなん | 23 |
《肉類》 | |
牛レバー | 30 |
鶏レバー | 20 |
豚レバー | 20 |
《野菜》 | |
芽キャベツ | 160 |
なばな | 130 |
パセリ | 120 |
ブロッコリー | 120 |
カリフラワー | 81 |
ニガウリ | 76 |
青ピーマン | 76 |
ほうれん草(冬採り) | 60 |
さやえんどう | 60 |
ししとうがらし | 57 |
あしたば | 41 |
こまつな | 39 |
ほうれん草(夏採り) | 20 |
《果物》 | |
アセロラ | 1700 |
グァバ | 220 |
ゆず(果皮) | 150 |
すだち(果皮) | 110 |
レモン(全果) | 100 |
甘がき | 70 |
キウイ | 69 |
いちご | 62 |
グレープフルーツ | 36 |
ライチー | 36 |
温州みかん | 35 |
すいか | 10 |