活性酸素を撃退する
遺伝子が傷つき発ガン
私たち日本人の死因のトップは、依然としてガン疾患となっています。そこで、ガンによる死亡者を減らそうと、「早期発見、早期治療」が提唱されているわけですが、言うまでもなく、最善なのはガンにならないことです。
ガンの発生の引き金になる一つは、細胞核の中の発ガン関連遺伝子が活性酸素によって損傷を受けることです。
私たちの体はこの損傷を修復する機能を持っていますが、何らかの理由で修復されずに、複数の損傷が蓄積されていくと細胞は突然変異を起こし、ガン細胞へと変化していきます。
したがって、ガンにならないようにするためには、体内で発生する活性酸素の量を減らすようにしたり、発生した活性酸素を速やかに消去したりしなければなりません。
それには、日常生活において、喫煙や飲酒を控える、規則正しい生活、十分な睡眠、ストレスを溜め込まないなどの点に注意しながら、ビタミンCやE、β―カロチン、リコピンなどといった抗酸化物質をたくさん含んだ食物を、積極的に食事に取り入れることが重要となってきます。
トマトをはじめとする緑黄色野菜には、これらの抗酸化物質が豊富に含まれているので、ガン予防のためには毎日の食卓に載せることを心がけたいものです。
高い抗酸化作用を持つリコピン
なかでも、トマトに含まれているリコピンには、前述のように、ビタミンEの100倍、β―カロチンの2倍という優れた抗酸化作用があります。
次頁の表は、いろいろな天然の抗酸化物質の抗酸化力を数値化して示したものです。表中の一重項酸素とは、活性酸素の一種で、ガンをはじめとする生活習慣病の原因となるものです。また、α―トコフェロールというのは、ビタミンEのことです。レチノイン酸はビタミンAの一種です。
数値が大きいほど一重項酸素を消去する能力が高いことを表しています。表を見ると、カロチノイド類の数値が大きいことが分かります。
その中でも、とくにリコピンは大きな数値を示しており、その抗酸化力の強さは際立っているといえるでしょう。
天然抗酸化物質の一重項酸素消去能力
抗酸化物質 | 一重項酸素消去速度定数(Kq) |
リコピン | 31 |
α-カロチン | 19 |
β-カロチン | 14 |
γ-カロチン | 25 |
ルテイン | 8 |
クリプトキサンチン | 6 |
α-トコフェロール | 0.3 |
レチノイン酸 | 消去能なし |
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