リコピンの発ガン抑制効果
リコピン単独でも有効
リコピンに注目した私たちの研究グループは、今度はリコピンのみを使って、肝臓ガンに関する実験を試みました。
結果は左頁の表の通りで、肝臓ガンに対する阻害率は四三%でした。すなわちリコピン単独でも、肝ガンへの抑制効果のあることが証明されたのです。
続いて、膀胱ガンについても実験をしてみました。阻害率は二六%と、肝臓ガンのときよりも低い数値となっていますが、β‐カロチン投与群のゼロ%に比べれば、膀胱ガンに対する抑制作用のあることがはっきりと見て取れます。
リコピンはトマトに豊富に含まれているので、トマトジュースを使っての実験も試みました。その結果、やはり発ガン抑制作用のあることが証明され、しかもその効果はリコピン単独の場合よりも強力であることが明らかとなりました。
実験に用いたトマトジュースは、稀釈してリコピン量が前の実験と同じ〇・〇〇二五%となるように調整してあります。それにもかかわらず、前の実験よりも優れた結果が得られたということは、リコピン以外にも有効な成分が共存していたと考えるのが自然です。
事実、リコピン以外のカロチノイドやビタミンE、ビタミンCなど、他の抗酸化物質も含有されていることが確認されています。
以上の結果は、カロチノイドを他のものと複合的に用いることにより、優れた効果が得られる可能性のあることを示しているものとして、重要です。
さらに、リコピンは肺ガン、大腸ガン、乳ガンなどに対しても抑制作用のあることが明らかになっており、注目されています。
※表省略