健康によいビタミンの本

ハート出版の健康書籍ふるさと文庫の中から、ビタミンに関するものを集めました。

包接CoQ10なら作用が向上する

エネルギー産生を高める
吸収性の改善により、包接CoQ10ではエネルギー産生作用が向上することが、たとえば次のような試験でも確かめられています。
健康な男女32人を16人ずつの2グループに分け、一方には?CoQ10原末100mgを、もう一方には?包接CoQ10100mg(CoQ10を20mg含有)を摂取してもらいました。そして、摂取前と摂取1ヵ月後の持久力の差を、電磁ブレーキ式自転車エルゴメーターを用いたペダリング運動における最大酸素摂取量を指標として調べました。
その結果、?CoQ10原末グループの最大酸素摂取量の上昇率を1とすると、?包接CoQ10グループではその13倍と向上しました。
?包接CoQ10グループのCoQ10摂取量は、原末グループのわずか5分の1にもかかわらず、CoQ10が腸管から十分に吸収され、エネルギー産生を高めたことが持久力の向上につながったと考えられます。
なお、コラーゲン産生補助作用の向上については、第3章の「美肌のための~」の項で触れます。


コエンザイムQ10の最大酸素摂取量(V02MAX)向上率の変化

抗酸化作用も向上する
包接CoQ10では、抗酸化作用も著しく高まることが確認されています。詳しい実験内容は紙面の都合で割愛しますが、CoQ10と包接CoQ10について、各種の抗酸化物質の作用評価として広く用いられているDPPHラジカルの消去活性能を調べたところ、包接CoQ10ではラジカル消去活性能が原末に比べ4.2倍向上しました。
この結果は、包接化で分子間力を断ち切り、分子レベルでの利用能が高まったためと考えられます。
また、包接CoQ10とビタミンCとの配合により、さらに抗酸化作用が向上することも、同様の実験で明らかとなっています。
これは、ビタミンCにより抗酸化作用の高い還元型に変化したCoQ10が、通常は非常に不安定ですぐに酸化型に戻ってしまうのですが、自身の水酸基とγ―CDの水酸基との水素結合により、安定した還元型として存在でき、高い抗酸化作用を発揮できるためと考えられます。


還元型コエンザイムQ10のγ-CDによる安定化

「包接化」で安定性・吸収性・持続性に優れ効果アップ
「肌の弾力、疲労回復に包接コエンザイムQ10」のさらに詳しいページを見る

γ―CDによる包接化で弱点を克服

吸収性が向上する
体内における包接CoQ10の吸収性が向上することは、健康な成人男女24人を12人ずつの2グループに分けた、クロス試験でも確かめられています。
一方には?包接CoQ10(CoQ10を30mg含有)を、もう一方には?CoQ10+セルロース混合物(CoQ10を30mg含有、食物繊維セルロースはCoQ10に何ら影響を与えない)を摂取してもらいました。次に2週間の間隔をおいてこれら??を交換して摂取してもらい、それぞれのケースで、1時間ごとに各人の血中CoQ10濃度を測定しました。
結果、22人(生理になった2人を除く)の血中CoQ10濃度の平均値を算出し、血中CoQ10濃度差について濃度曲線下面積で比較したところ、?の包接CoQ10は、?セルロース混合物より吸収性が約18倍も高いことが認められました。
また、男女10人に、1日に包接CoQ10を100mg(CoQ10を2
0mg含有)摂取してもらった連続投与試験では、全員とも1ヵ月摂取後の血中CoQ10濃度が上昇するという優れた吸収性が示されました。
一般に血中CoQ10濃度上昇には1日100mg以上の摂取が必要とされていますが、包接化によってわずか20mgの摂取量で全員に効果があったという驚くべき結果でした。
包接CoQ10はナノサイズの極小の微粒子であり、カップの外側が親水性のために腸管の水分になじみ、よく分散します。腸管内で徐放によりいったん飛び出たCoQ10は、γ―CDが消化酵素で分解されてしまうので再び包接されることはなく、腸管との接触率が高まります。こうした理由により吸収率が向上すると考えられます。

包接コエンザイムQ10摂取後の血中コエンザイムQ10濃度の変化


安定性を高め、配合変化も抑える
包接CoQ10の場合、光、熱、酸素に対する安定性が高まり、かつ配合変化が抑えられることも、各種の試験で明らかにされています。
たとえば、下段のグラフは、水溶化CoQ10(吸収性が高いとされる市販の製剤)、包接CoQ10、CoQ10+セルロース混合物、CoQ10原末を40℃の温度下、遮光なしの状態で保存した場合のCoQ10の残存率を示しています。包接CoQ10において、最も分解・変質が抑えられていることが見て取れます。



コエンザイムQ10の安定性

「包接化」で安定性・吸収性・持続性に優れ効果アップ
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コエンザイムQ10の弱点とγ―CD

CoQ10の三つの弱点
CoQ10を補給することは、健康維持や老化防止などの面でたいへん役立ちます。しかし、従来のCoQ10のサプリメントには、吸収性が低い、光、熱、酸素などに対する安定性が低い、ペプチド類、アミノ酸類や脂肪酸などとの配合変化を起こしやすい、などの弱点が存在することも知られています。
私たちの体内では、水に溶けることにより物質は吸収されやすくなります。一方、CoQ10は脂溶性なので水に溶けにくく、吸収性がよくありません。吸収されないとそのまま体外へ排泄されてしまい、サプリメントを摂取しても、期待どおりの効果が得られないことにもなります。

変換物質の生成と配合変化
また、CoQ10は、光、特に紫外線、熱や空気中の酸素などからの影響を受けやすく、分解・変質し、サプリメント中のCoQ10の含有量が低下するとともに、CoQ10からさまざまな変換物質が生成します。中でも特に、空気中の活性酸素によって酸化された毒性の高い変換物質には、その安全性の問題が懸念されています。
さらに、CoQ10はペプチド類、アミノ酸類や脂肪酸などとの配合変化を起こしやすいので、サプリメントとしての同時配合には十分な注意が必要です。CoQ10に油脂系界面活性剤(乳化剤)を配合したサプリメントは、水に溶けやすくする目的で使用しているのですが、組成分の脂肪酸、特に不飽和脂肪酸はCoQ10よりも簡単に空気で酸化されてしまいます。その不飽和脂肪酸の酸化物は、活性酸素の一種で、CoQ10を酸化してしまうのです。

γ―CDによる包接化が有効
CoQ10の弱点を克服する極めて有効な方法として、γ―シクロデキストリン(cyclodextrin=CD)による「包接化」があります。
CDは環状オリゴ糖ともいわれ、オリゴ糖(単糖類と呼ばれるブドウ糖、果糖などが2~10個結合)の両端がつながり環の形になったもので、その環の大きさの違いから、α、β、γの3種類に分かれます。
γが最も水溶性が高く、βは難水溶性、αとβは難消化性、γは消化性という性質の違いもあります。6個のブドウ糖が環になったα―CDが最も小さく、βはその数が7個、γは8個です。
上の図のように、CDは、フタと底のないカップのような構造であり、その空洞の内径は、いちばん大きいγでも0.9~1.0nm(ナノメートル=10億分の1メートル)と、まさにCDは分子サイズの世界の小さなカップといえます。そして、カップの外側は親水性(水に溶けやすい)なのに、内側は親油性(油に溶けやすい)というユニークな性質を持っています。
さらに、CDにはカップの内側にさまざまな分子を取り込み固定する「包接」作用と、水分の存在によりその分子を徐々にゆっくり放出する「徐放」という作用があります。
CoQ10の弱点の克服に、これらの作用が大いに役立つことが、各種の試験により明らかにされています。



包接コエンザイムQ10

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Q・コエンザイムQ の補給源には、どのようなものがある?

コエンザイムQ10は、微生物から植物、動物にいたるまで、地球上のあらゆる生物に含まれています。
ですから、肉や魚をはじめ、野菜、くだもの、大豆製品など、私たちが普段、口にしている食品から、普遍的に補給できますが、食品によって含有量に大きな差があるのも事実です。
コエンザイムQ10が豊富なのは、肉類ではレバー、魚類ではイワシ、サバ、ブリ、野菜類では新鮮な緑黄色野菜に比較的多く含まれています。
なかでも魚は、コエンザイムQ10の最高の補給源です。
たとえば、海産物を主食としているグリーンランド在住のイヌイットは、心臓病をはじめとする生活習慣病罹患率が低いことが知られていますが、その血液中には多量のコエンザイムQ10が含まれることが明らかにされています。
魚は、コエンザイムQ10のみならず、ビタミン・ミネラル、EPA・DHAなど、海由来の有効成分が豊富なので、ぜひ積極的にとりたいものです。
とはいえ、よほどの魚好きの人をのぞけば、食事でとれるコエンザイムQ10の量はそう多くありません。せいぜい1日数mg程度です。
日本では、コエンザイムQ10の医薬品の用量として、成人で1日30mgと規定されていますが、この量を食物でとるとなると、イワシで約6尾、牛肉なら約950グラム食べる必要があります。
コエンザイムQ10の健康効果を確実に効率よく得るには、栄養補助食品を利用するのが最良の方法といえます。

心臓強化、免疫力強化、美肌づくり、ダイエットに
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そのほかこんな症状にもぜひ

動脈硬化――LDLの酸化抑制
人は血管とともに老いる、といわれるように、動脈硬化が進むとさまざまな病気が発生しやすくなります。
最終的には心筋梗塞脳卒中で死亡する危険性も高まることから、寿命にも影響してきます。
この動脈硬化を進める最大の元凶が、活性酸素です。活性酸素が体内に多量に発生すると、俗に悪玉コレステロールと呼ばれているLDLコレステロールを酸化し、血管の壁を障害してしまうのです。
コエンザイムQ10は、こうしたLDLコレステロールの酸化を防ぐうえで有効です。
また、コエンザイムQ10には、余分なLDLコレステロールを減らす働きもあるといわれています。

歯周病――炎症・出血の改善に
歯周病の患者さんに、毎日コエンザイムQ10をとってもらった研究データがあります。大阪大学の研究ですが、8週間後、患者さんの歯茎の炎症や不快感が明らかに改善したと報告されています。
このほか、歯茎に直接コエンザイムQ10を塗布した研究では、歯茎からの出血が止まったり、歯と歯茎の隙き間が埋まる例がみられたそうです。
そうしたことから、海外では、コエンザイムQ10を添加した歯磨き粉も売り出されています。

男性の生殖能――精子を活性化
生殖能が不全の22名の男性にコエンザイムQ10を毎日とってもらった結果、不能精子率が劇的に改善されたという報告があります。つまり、精子が元気になったということです。
イタリアで行なわれた研究では、コエンザイムQ10は、精子の遺伝子(DNA)を活性酸素から守ることが明らかにされています。

風邪――免疫力を活性化
カゼは万病の元といわれます。確かにカゼをひきやすいということは、からだの免疫力が弱っている証拠で、あらゆる感染症にかかりやすい状態にあります。
免疫力の活性化に役立つコエンザイムQ10は、カゼをはじめとするさまざまな感染症の予防に有効です。

アルツハイマー病――臨床で成果
アルツハイマー病は、最近、日本で増えている痴呆症です。
むかしから日本で知られる脳卒中の後遺症として起こる脳血管型の痴呆と違って、原因不明で脳全体が徐々に萎縮していく恐ろしい病気です。
原因が明らかでないため、治療法もまったく確立されていないのが現状ですが、コエンザイムQ10を用いた大変興味深い研究データが、兵庫県立尼崎病院の今川正樹氏によって報告されています。
それによると、アルツハイマー病の患者さんに、コエンザイムQ10を鉄、ビタミンBとともに投与したところ、顕著に改善された例があったといいます。
たとえば今日の日付もわからず、会話が成り立たない状態だった58歳と48歳のアルハイマー病の姉妹が、姉は症状の進行が止まり、妹のほうはバイクで買物に出掛けられるほど回復したというのです。
この報告は、イギリスの権威ある医学雑誌『ランセット』でも紹介され、世界的な反響を呼びました。
コエンザイムQ10は、脳の神経細胞の活性化に役立つ可能性が考えられます。

その他――研究中の病気
神経系の退行性変性疾患、パーキンソン病、ハンティントン舞踏病(遺伝性舞踏病)、筋萎縮性側索硬化症多発性硬化症などに対する有効性も期待されていて、現在、アメリカの医科大学などで臨床研究が進められています。

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がんの予防と克服の大きな一助に

発がんを二つの側面から防ぐ
がんというのは、ふつうの細胞が突然変異したものです。
細胞が突然変異を起こす要因はいろいろ考えられますが、いま、とくに危険視されているのが、活性酸素による細胞障害です。
なんらかの理由で活性酸素がからだのなかに多量に発生すると、細胞内の遺伝子(DNA)を直撃して傷つける危険性が高まるのです。
コエンザイムQ10には、この恐ろしい活性酸素を、すみやかに捕まえて消去する働きのあることは、二章で説明しました。
また、たとえコエンザイムQ10の監視の目をかいくぐって、活性酸素ががん細胞を芽吹かせてしまったとしても、体内にコエンザイムQ10が十分にあれば、白血球が元気になって、がんの芽をすぐに摘み取ることができます。
つまり、日ごろからコエンザイムQ10を積極的に補って、体内の量を増やしておくことは、がんを防ぐうえで二重の効果が期待できるのです。

乳がんが消えた」実例二つ
そしてじつは、がんが発生してしまったあとの、がんとの闘いにおいても、コエンザイムQ10の補給が役立つ可能性が示されています。
アメリカのテキサス大学のフォルカー博士らの研究ですが、とくに乳がんに対して驚異的な効果がみられた二つのケースを以下に紹介しましょう。


【改善例①】……59歳の女性
1991年に乳がんの手術を受けたあと、再発予防のために、標準的ながんの治療法(抗がん剤など)に加え、ビタミンEやビタミンC、ベータカロチンなどとともにコエンザイムQ10の栄養補助食品の摂取をはじめました。
その後、乳房に再発がんが見つかったものの、腫瘍は1.5~2センチくらいの大きさで成長を停止。ほぼ一年間、安定した状態にありました。
そして、手術からおよそ2年が経過した1993年になって、コエンザイムQ10の摂取量を、それまでの一日90mgから390mgに増量したところ、一ヵ月後の触診で「しこり」が消えていることが判明。
その翌月に行なった乳房撮影法およびX線撮影では、がんの痕跡さえ見つからず、がんは完全に緩解していたといいます。


【改善例②】……44歳の女性
1992年に乳がんで両乳房を切除しましたが、がんがすでに右の脇の下のリンパ節へ広がっていることがわかり、手術後、化学療法を10回実施。
この間ずっと、薬物療法に加え、前記の女性と同じように、コエンザイムQ10をはじめとする栄養補助食品をとっていました。
しかし1994年、がんが肝臓に転移していることが判明したため、コエンザイムQ10の摂取量を、前記の女性同様、1日90mgから390mgに増量。
すると、その1年後の1995年には、肝臓のがんはもとより、全身のどこにもがんは見つからなかったそうです。

効果のしくみは今後の研究課題
がんに対して、コエンザイムQ10が、具体的にどのような効果を発揮するのかはまだ研究段階で、よくわかっていません。
おそらく、二章で紹介した抗酸化作用や免疫賦活作用などが相乗的に働いて、からだの自然治癒力を高めるものと予想されます。
前記の二つの改善例は、いずれもコエンザイムQ10単独の効果ではなく、あくまで従来の治療法(抗がん剤など)や、ほかの有効なビタミン剤と併用したときの効果です。
とはいえ、がんの患者さんは、体内のコエンザイムQ10が欠乏しているケースが多いことがわかっており、コエンザイムQ10を積極的にとることが、がんとの闘いを有利に導くうえで大きく寄与することは確かと思われます。

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生きるためのエネルギー生産に必須

細胞一つ一つがエネルギーをつくる
コエンザイムQ10が、さまざまな病気に効果を発揮する背景には、三つの働きが大きく関与しています。
まず一つは、生体のエネルギーを生み出す作用です。
私たちの生命活動は、全身を構成している約60兆個の細胞の働きで維持されています。
それら一つ一つの細胞が、遺伝子に刻まれた情報をもとに組織を形づくり、エネルギーをつくり出して、臓器や筋肉を
動かしているわけですが、このとき細胞内でエネルギーを生み出す拠点になっているのが「ミトコンドリア」です。

エネルギーをつくりだすしくみ
ミトコンドリアは、細胞内に設けられたエネルギーの生産工場で、ここで糖を燃やして(酸化して)分解し、最終的に「ATP(アデノシン3リン酸)」という、エネルギーの元になる物質がつくられます。
ATPは、いわば人体を動かす「電池」のようなものです。したがって、ATPなしでは、電池の切れたロボット同様、私たちはからだを動かすことも考えることも、生きることさえできません。
それほど大事なATPですが、からだのなかに貯めておくことができないため、各細胞のミトコンドリアでは絶え間なくATPがつくられています。
このATPをつくる過程(クエン酸回路)で重要な働きをしているのが、コエンザイムQ10です。

コエンザイムQ10のパワー コエンザイムQ10が体内に十分あると、コエンザイムQ10が不足している場合にくらべて、28倍も多くのエネルギーをつくり出せるといわれています。
逆にいえば、コエンザイムQ10が足りないと、エネルギーの生産は4%弱に激減してしまうわけです。これでは、ちょっとからだを動かしただけで疲れたり、動悸がしたり、息も絶え絶えになるのは避けられません。
そんなとき、外部からコエンザイムQ10を積極的に補給すると、ATPの生産効率がぐんと高まります。その結果、身も心も元気を取り戻していくのです。
ATPをつくり出す能力は、個人差があるようですが、その力が弱い人でも、意識してコエンザイムQ10をとることで、エネルギー生産量を高めることができます。

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現代には不足しがちな人が多い

年をとるごとに体内の量は減る
コエンザイムQ10は、私たちのからだを形づくっている細胞一つ一つに含まれています。
健康な成人の体内には、およそ700mgのコエンザイムQ10が存在するといわれていますが、とりわけ心臓や肝臓、腎臓など、働きが活発な組織に多く含まれるのが特徴です。
前にのべたように、コエンザイムQ10は体内で合成できます。
しかし、体内で合成されるコエンザイ
ムQ10の量は、20歳をピークに徐々に減りはじめます。
左ページの図を見てください。これは、年齢別の体内のコエンザイムQ10の量を表わしたものです。心臓に含まれる量にいたっては、80歳で、20歳のころの半分以下に減っているのがわかります。
コエンザイムQ10が元気の源であることを考えると、年をとるほどその重要性は増します。ところが、皮肉なことに、年をとるほど体内の量は減ってしまうのです。


コエンザイムQ10のヒト組織内濃度


20歳を起点にみた加齢によるコエンザイムQ10量の減少

  20歳 40歳 80歳
肝臓 100% 95.3% 83.0%
腎臓 100% 72.6% 65.3%
100% 100% 51.7%
心臓 100% 68.2% 42.9%

「INTERNATIONAL COENZYMEQ10 ASSOCIATION」パンフレットより



コエンザイムQ10を消耗する要因
加齢だけでなく、病気の患者さんの体内でも、コエンザイムQ10の減少がみられます。がん、糖尿病(非インスリン依存型)、肝硬変、低血圧はその代表で、慢性頭痛や慢性疼痛を訴える人の血中でも、コエンザイムQ10が減っていることが明らかにされています。
このほか、コレステロールを下げる薬をとっていたり、偏った食生活を続けたり、あるいはストレス、激しい運動などによっても、コエンザイムQ10は大幅に消耗します。
ですから、現在の日本のように、社会の高齢化が進み、病気やストレスが蔓延し、食生活が乱れがちな状況では、年令に関わらず、コエンザイムQ10が不足している人は少なくないと思われます。
からだの活力を健康なレベルに保つには、コエンザイムQ10を外部から積極的に補給することが望まれるのです。
では、欧米で人気の、この栄養補助食品の実力が果たしてどれほどのものなのか、さっそく紹介していきましょう。

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トマトにもいろんな種類がある

赤系トマトの代表はサンマルツァーノ
世界中で食され、多くの人たちの健康や美容に貢献しているトマトですが、色、形、大きさなどの違いによりたくさんの種類が存在します。
現在、世界中で年間、約9千万トンが生産されていることはすでに述べましたが、そのほとんどは〝赤系トマト〟と呼ばれている種類のものです。熟した時の色が濃い赤色であることから、そう呼ばれています。
代表的なものとしては、イタリアでよく食べられている「サンマルツァーノ」があげられます。

日本ではピンク系トマトが主流
一方、9千万トンのうちの約80万トンは日本で生産されていますが、その多くは〝ピンク系トマト〟と呼ばれるもので、日本での赤系トマトは総生産量の1割弱といったところです。
代表的なピンク系トマトは「桃太郎」という品種です。
このように、世界の人々は赤系トマトを、日本人はピンク系トマトを好んで食べるという食習慣の違いが指摘されています。
実は、トマトを生で食べることの多い日本人向きに開発されたのが「桃太郎」などのピンク系トマトなのです。
桃太郎は生で食べても大変おいしいのですが、赤系トマトは料理に適していますが、生ではあまりおいしくありません。
そこで、日本では赤系トマトは、トマトケチャップやトマトピューレ、トマトジュース、およびその他の加工品用として利用されています。
しかし、トマトを生ではなく料理して食べることの多い海外の人には、赤系トマトのほうが喜ばれるというわけです。

完熟するほどリコピンが多い
このような事情から、私たちが一般に青果店やスーパーなどで購入できるトマトのほとんどはピンク系のものとなっています。
本来、トマトの旬は7~9月の暑い盛りで、加工用の赤系トマトは、露地栽培されていたものがこの時期に収穫されます。一方、ピンク系トマトは、ハウス栽培によって一年を通して供給されます。
どちらのトマトも完熟して赤みが増すほど、リコピンの含有量は増加します。しかし、赤系とピンク系とでは、左頁のグラフが示すように、リコピンの含有量に大きな差があります。リコピンは赤色の色素なので、赤いトマトほどその含有量が多いことになるからです。
だからといって、ピンク系が赤系よりも一概に劣っているというわけではありません。先述したように、生で食べてもおいしいですし、何よりも一年を通して新鮮なトマトが食べられるという大きなメリットがあります。
また、生で食べるだけでなく、いろいろな料理に利用すれば、必要なだけの量のリコピンを摂取することも可能となります。

良いトマトの選び方
お店で売られているトマトは、どれをとってもその品質に大きな差はありませんが、よく熟し、赤みを増したものほどリコピンの含有量が多いわけです。購入する時には当然、そうしたものを選ぶことが肝心です。
桃太郎以外のピンク系トマトには、「ファースト」や「ミニトマト」などがあります。ミニトマトには、比較的赤色の濃いものもあるようです。
とはいえ、毎日の食卓に上るものですから、リコピンの含有量だけが選択の目安とはいえません。自分の好みに合った味とか、香りのものでなければ継続して食することはできないからです。こうした点を加味して選ぶことも必要でしょう。
また、店頭で手に取った時にずっしりと重量感があり、しっかりと固く引き締まっているものは糖度が高いので、おいしいトマトといえるでしょう。冷蔵庫などで保存する場合には、傷があると傷みやすくなるので、そうしたものは避けるようにしましょう。
おいしいトマトは食事を楽しくしてくれるだけでなく、私たちの健康の維持や増進、そして老化防止に大いに役立ってくれます。


加工用および生食用トマトの熟度別リコピン含量

トマトに多く含まれ、強力な抗酸化作用を発揮
「生活習慣病を予防するトマトの“リコピン”」のさらに詳しいページを見る



トマトを食べるとガンになりにくい

イタリアでは消化器系ガンが少ない
地中海式食事(14頁参照)で注目されたトマトの健康効果については、世界各国で大規模な疫学調査が行なわれてきました。
その結果、トマトおよびトマト加工品(ケチャップ、ピューレ、ジュースなど)の摂取量と各種のガン(大腸ガン、胃ガン、前立腺ガン、肺ガン、すい臓ガン、乳ガンなど)の発生頻度が逆相関を示す、という報告が多数寄せられるようになりました。
つまり、トマトを毎日の食事でたくさん食べている人ほどガンになりにくいということです。
日本人の1年間のトマト消費量は1人当たり7キロほどですが、その約10倍もトマトを食べているのがイタリアです。
イタリアのガン研究所とミラノ大学医学部が共同で実施した疫学調査では、約3千人の北イタリアの住民を対象に、トマトの摂取量と消化器系ガンの発生との関係について、7年間にわたり調査しました。
被験者の住民を、1週間のトマトの摂取量が2個以下、3~4個、5~6個、7個以上の4群に分け、それぞれの群の間で、口腔ガン、咽頭ガン、食道ガン、胃ガン、結腸ガン、直腸ガンなどの消化器系ガンの発生率を比較しました。
その結果は、胃ガンの発生率は、5個以上の群は2個以下の群の半分に減少、結腸ガンや直腸ガンといった大腸ガンの発生率は、7個以上の群は2個以下の群の半分以下に減少するというものでした。
また、その他のガンについても、トマトの摂取量が多いほど発生率が減少することが確認されました。
イタリアでは消化器系ガンが少ないというデータが以前からありましたが、これは、トマトの個人消費量が世界トップクラスのイタリアだからこそのことといえるでしょう。

前立腺ガンなどの発生率を下げる
前立腺ガンの患者が急増しつつあるアメリカでは、医療関連の職業に就く4万8千人の男性を対象に、前立腺ガンの発生と食生活との関係について、6年間にわたる調査が実施されました。
ハーバード大学と米国ガン研究所が共同で行なった、この大規模な疫学調査では、131種類の食品が調査対象となりましたが、それらの中で前立腺ガンの発生を抑制したのは、トマトソース、トマト、ピザ、イチゴの4食品という結果がでました。
イチゴ以外はみなトマト関連の食品であることから、リコピンには前立腺ガンの発生を抑制する作用のあることが明らかにされました。
アメリカでは、この調査以外にもいくつもの疫学調査が行なわれており、それらの結果から前立腺ガンだけでなく、すい臓ガン、膀胱ガン、子宮頸ガンの発生も抑制することが分かっています。
このように、現在までに実施された疫学調査、あるいは動物実験などから、リコピンの持つ発ガン抑制効果は相当に大きいと考えられます。
したがって、各種のガンの予防対策として、リコピンの摂取は非常に有効といえるでしょう。

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皮膚のトラブルも防ぐ

日焼けは皮膚に良くない
小麦色の肌というと健康そうなイメージがありますが、実際には健康とは何ら関係がありません。むしろ、日焼けによる害のほうが多いくらいでしょう。
というのも、太陽光線中の紫外線に当たることにより日焼けは起きますが、その時、皮膚の表面やその下にある真皮層では有害な活性酸素が発生しているからです。この活性酸素が、いろいろな皮膚のトラブルをもたらすことになります。
しかし皮膚には、こうした紫外線による活性酸素の発生を抑制する仕組みが備わっています。
それが、つまり日焼けで、紫外線をブロックするために黒褐色のメラニン色素をつくり出します。とはいえ、完全にブロックできるわけではないので、どうしても活性酸素が発生してしまうことになります。

シミ、ソバカスの生成を防ぐ
年齢が若く新陳代謝が活発な頃なら、相当な日焼けでも、時間の経過とともにメラニン色素は分解されて消え、もとの肌へと戻ります。
しかし、年齢とともに新陳代謝は衰えてくるので、それほど日焼けをしなくても、消えずに残ってしまうメラニン色素がでてきます。これが、シミやソバカスとなります。
リコピンを摂取すると、皮膚に発生した活性酸素を消去してくれます。その分メラニン色素の生成が抑制されるので、シミやソバカスの生成もまた抑制されることになります。
リコピンには、このようにシミやソバカスを防ぐ働きがあります。

シワをできにくくする
いつまでも若々しさを保ちたい女性にとって、シミやソバカス以上に悩みの種となるのが顔のシワです。これは老化現象によるものなのですが、実はこのシワの生成にも紫外線が関与しています。
私たちの肌に弾力やハリをつくり出しているのは、表皮の下の真皮層にあるコラーゲンの層です。線維状のたんぱく質であるコラーゲンが、しっかりとした網目状の構造を形づくり、下から支えているからこそ、肌に弾力やハリが生まれてくるのです。
しかし、紫外線による活性酸素の攻撃を受けると、この構造が崩れてしまいます。その結果、肌は弾力やハリを失って硬くなり、陥没した部分はシワとなります。
すでに述べたように、リコピンには皮膚に発生した活性酸素を消去する働きがあります。したがって、リコピンの摂取でこのシワの生成を抑えることが可能となるのです。

ガンから皮膚を守る
紫外線により皮膚に発生した活性酸素は、シミ、ソバカス、シワの生成の原因となるばかりでなく、もっと恐ろしい皮膚ガンの原因ともなります。
近年、南極上空のオゾンホールの拡大に見られるように、私たちを紫外線の害から守ってくれるオゾン層は年々減少しているといわれています。
それに伴い皮膚ガンの急増が懸念されている現在、その予防対策として、リコピンの摂取は効果的といえるでしょう。


トマトに多く含まれ、強力な抗酸化作用を発揮
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活性酸素を撃退する


遺伝子が傷つき発ガン
私たち日本人の死因のトップは、依然としてガン疾患となっています。そこで、ガンによる死亡者を減らそうと、「早期発見、早期治療」が提唱されているわけですが、言うまでもなく、最善なのはガンにならないことです。
ガンの発生の引き金になる一つは、細胞核の中の発ガン関連遺伝子が活性酸素によって損傷を受けることです。
私たちの体はこの損傷を修復する機能を持っていますが、何らかの理由で修復されずに、複数の損傷が蓄積されていくと細胞は突然変異を起こし、ガン細胞へと変化していきます。
したがって、ガンにならないようにするためには、体内で発生する活性酸素の量を減らすようにしたり、発生した活性酸素を速やかに消去したりしなければなりません。
それには、日常生活において、喫煙や飲酒を控える、規則正しい生活、十分な睡眠、ストレスを溜め込まないなどの点に注意しながら、ビタミンCやE、β―カロチン、リコピンなどといった抗酸化物質をたくさん含んだ食物を、積極的に食事に取り入れることが重要となってきます。
トマトをはじめとする緑黄色野菜には、これらの抗酸化物質が豊富に含まれているので、ガン予防のためには毎日の食卓に載せることを心がけたいものです。

高い抗酸化作用を持つリコピン
なかでも、トマトに含まれているリコピンには、前述のように、ビタミンEの100倍、β―カロチンの2倍という優れた抗酸化作用があります。
次頁の表は、いろいろな天然の抗酸化物質の抗酸化力を数値化して示したものです。表中の一重項酸素とは、活性酸素の一種で、ガンをはじめとする生活習慣病の原因となるものです。また、α―トコフェロールというのは、ビタミンEのことです。レチノイン酸はビタミンAの一種です。
数値が大きいほど一重項酸素を消去する能力が高いことを表しています。表を見ると、カロチノイド類の数値が大きいことが分かります。
その中でも、とくにリコピンは大きな数値を示しており、その抗酸化力の強さは際立っているといえるでしょう。



天然抗酸化物質の一重項酸素消去能力

抗酸化物質 一重項酸素消去速度定数(Kq)
リコピン 31
α-カロチン 19
β-カロチン 14
γ-カロチン 25
ルテイン 8
クリプトキサンチン 6
α-トコフェロール 0.3
レチノイン酸 消去能なし

 

トマトに多く含まれ、強力な抗酸化作用を発揮
「生活習慣病を予防するトマトの“リコピン”」のさらに詳しいページを見る



トマトは緑黄色野菜の人気者

 

野菜不足の日本人
私たちの健康にとって毎日の食事はたいへん重要なものといえます。日々の食生活の積み重ねが、結果として健康状態にいろいろな影響として現れてくるからです。
日本人の食生活が欧米型の肉類を中心にしたものへと近づきつつあると指摘されるようになってから久しくなります。こうした食文化の変化がもたらしたものは、大腸ガンや心臓疾患などといった欧米人に多く見られる病気の増加でした。
欧米型の食事では脂肪分を過剰に摂取してしまうことが、これらの病気を誘発する大きな原因となっています。
そこで、現在では、穀類や野菜、魚介類などを中心とした、伝統的な和食の良さを見直す機運が高まっています。
厚生労働省は、「健康日本21」と銘打った「21世紀の国民健康づくり運動」を推進していますが、その中でガンなどの予防対策として、1日に350グラム以上の野菜を摂取することを勧めています。そのうち、とくに緑黄色野菜の摂取量を120グラム以上としています。
しかし、残念ながら、多くの人はその目標値に達しておらず、野菜の摂取不足というのが実情です。肉類中心の食事に慣れ親しんだために、野菜嫌いの人も増えているようです。


代表的な緑黄色野菜

あさつき あしたば グリーンアスパラ
さやいんげん さやえんどう あかひじき
オクラ かぶ(葉) かぼちゃ
からしな きょうな こまつな
サラダ菜 しそ(葉) しゅんぎく
だいこん(葉) たかな たらの芽
チンゲンサイ つるむらさき トウガラシ(葉)
トマト にら ニンジン
葉ねぎ 野沢菜 パセリ
ピーマン ブロッコリー ほうれん草
みつば 芽キャベツ わけぎ


好きな野菜の1位はトマト
ひと口に野菜といっても、たくさんの種類があるわけですが、その中でもとくに緑黄色野菜は私たちの健康にとって重要な働きをします。
ですから、野菜嫌いの人も、上段の表に示したような緑黄色野菜の中から食べられるものを選んで積極的に摂るようにするとよいでしょう。
そんな緑黄色野菜の中の一つであるトマトは、日本人に最も人気のある野菜といえます。消費者アンケートにおいても、好きな野菜のトップという結果が出ています。
しかし、トマトを好きなのは、実は日本人だけではありません。トマトは世界中で9千万トンほどが生産されていますが、この数量はすべての野菜の中でいちばん多くなっています。
トマトの生産量が他の野菜に比べ多くなっているのは、とりもなおさず世界中の人々からトマトが愛され、食されているからなのです。

緑黄色野菜に多いカロチノイド
野菜の中でもカロチノイドを多く含むものが、緑黄色野菜と呼ばれています。カロチノイドとは、野菜や果物などの〝色のもと〟となっている黄色や赤、橙色などの天然の色素のことです。
緑黄色野菜はビタミンやミネラル、食物繊維も豊富ですが、ガンをはじめとする生活習慣病の予防効果という観点から、カロチノイドに注目が集まっています。
現在、自然界に600種類以上のカロチノイドが確認されており、それらは大きくカロチン類と、キサントフィル類に分類できます。
それらのうち、数十種類を私たちは食事から摂り、さらにその中の十数種類が体内に吸収されます。代表的なものは、α―カロチン、β―カロチン、リコピンルテインなどです。
α―カロチンとβ―カロチンは、体内でビタミンAに変換することが知られています。とくに、β―カロチンはその能力が高いため栄養学的な研究が盛んに行なわれています。
また、ビタミンA供給源としてだけでなく、ガンの発生を予防する能力のあることが、ここ十数年の研究で明らかになってきました。


生活習慣病を予防する緑黄色野菜の色素


トマトに多く含まれ、強力な抗酸化作用を発揮
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抗酸化活性が強まる

NOの産生をより抑制
CD包接化による安定性や吸収性の向上は、T3の抗酸化作用を強化するという、静岡県立大学などのグループが行なった研究もあります。
この研究では、まずγ―T3を主成分とするビタミンEサンプル(γ―T365%)を用い、マウスマクロファージ様細胞RAW264.7細胞への、24時間にわたるLPS(リポ多糖)とIFNγ(インターフェロンガンマ)の曝露によるNO(一酸化窒素、フリーラジカルの一種)の産生に対し、γ―T3およびγ―T3―CD包接体(γCD)がどのような効果を示すかについて調べました。
結果は、γ―T3とγ―T3―CD包接体のいずれも、LPS、IFNγと同時投与すると、NOの産生を濃度依存的に抑制するというものでした。
しかし、IC50(50%阻害濃度、低いほど阻害剤として高活性)は、γ―T3投与群で82.9±7.0mM、γ―T3―CD包接体投与群で63.9±1.2mMであることから、CD包接化による有意なNO消去活性促進効果、つまり抗酸化作用の強化が認められました。

マウスの生存率が増加
次いで、マウスを用い、致死的LPS刺激に対するγ―T3およびγ―T3―CD包接体の効果も検証されています。
ビタミンE欠乏食を4週間与えた9週齢のC57BL/6マウスに、γ―T3およびγ―T3―CD包接体(ビタミンE100mg/kg体重)を1日おきに3回経口投与し、LPS(60mg/kg体重)を腹腔内投与しました。
そして、その後72時間の生存率を観察したところ、コントロール群に対し、γ―T3およびγ―T3―CD包接体投与群では有意な差は認められませんでした(ログランク検定法)。
しかし、γ―T3―CD包接体は、γ―T3に比べLPSが誘導する致死的刺激に対し最終(72時間後)生存率を増加させる(γ―T320%、γ―T3―CD包接体35.7%)という効果を示しました。

真のスーパービタミンEの機能性アップで高まる効果
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安定性が向上する

熱安定性の向上
T3には機能性に富むその一方で、安定性の低さという問題も存在します。そこで、T3高含有オイル〈規格値総TP・T3量82.6%、総T3量41.4%〉の各CD包接体を作製し、幾つかの安定性評価試験を行なってみました。
まず、γCD包接体〈白色粉末、T3高含有オイル20%〉と、MCC(結晶セルロース)混合体〈茶色粉末、T3高含有オイル20%〉の熱安定性を比較しました。
双方を開放系で140℃に加熱し、主成分のα―TPとγ―T3の含有量をHPLC高速液体クロマトグラフィー)で測定してその残存率を算出したところ、γCD包接体においては熱分解が抑えられることが判明し、特に、この効果はγ―T3に対してより顕著でした。

T3高含有オイル粉末の加速試験(140℃)によるα-TPとγ-T3の安定性評価

高い安定性のγCD包接体
それぞれT3高含有オイルを30%含むα、β、γ三種のCD包接体間でも、先の加速試験とほぼ同様の方法で熱安定性を比較しました。
その結果、αCD包接体はMCC混合体と同様、熱分解抑制効果はほとんど見られず、一方βとγCD包接体ではγ―T3への安定化効果が顕著であり、とりわけγCD包接体がすぐれた安定性を示しました。

オイル配合量による安定性の比較
さらには、T3高含有オイルの配合量を増やし、同様の方法で、γCD包接体とMCC混合体の熱安定性の比較も行ないました。
この試験において、T3高含有オイルの配合量が低いほど熱に対して安定し、その配合量が35%以下で、γCD包接体はMCC混合体より高い残存率を示すことが分かりました。
また包接化の際に80℃で20分以上の加熱処理をすることで、配合量を60%まで増加しても、均一な粉末化が可能なことなどが確かめられました。

長期安定性でも優れた評価
γCD包接体(T3高含有オイル32.5%)の長期安定性の評価でも、40℃下および冷蔵保存下で2ヶ月経過後も、α―TP、γ―T3ともにほとんど減少が見られないという結果が出ています。

α-TPとγ-T3の含有量のクロマトグラム(HPLC)

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