止血と骨の強化に必要なビタミンK
基本的な働き/血液凝固と骨代謝
外傷で出血した際、軽いすり傷程度なら放っておいても自然に出血が止まります。これは体の中に血液を固める成分、すなわち血液凝固因子が多く存在するためです。 ビタミンKは、そうした血液凝固因子の合成に欠かせないビタミンで、たとえば、凝固因子のひとつプロトロンビンの形成に必須です。
またビタミンKは、ビタミンDとともに骨を丈夫に保つうえでも欠かせないビタミンです。骨から見つかったオステオカルシンと呼ばれるたんぱく質は、ビタミンKがないと正常に働かないのです。ビタミンKには植物由来のK と、微生物由来のK がありますが、K活性はほぼ同等です。
欠乏症/乳児の出血症
乳児にみられる「乳児ビタミンK欠乏性出血症」は、ビタミンK欠乏の代表です。頭蓋内などに出血が起こり、嘔吐、ひきつけ、けいれん、意識障害などを引き起こし、死亡する例もある恐ろしい病気です。またKの欠乏は骨を弱める原因にもなります。
上手な取り方/乳児は医師と応相談
アメリカの栄養所要量では、成人男性で55~65.、成人女性で50~55.とされています。体重×1.が目安。 健康な成人では、腸内細菌からも供給されるため、欠乏することはまずありません。ただし、抗生物質を服用中の人や、胆道閉塞、肝臓・小腸に疾患のある人は、欠乏する可能性があります。また特に欠乏の起こりやすい乳児の、ビタミンKの摂取量および摂取方法については、産院の医師の指導に従うことが大切です。
過剰症/溶血性貧血
ビタミンKの過剰症は、主に、ビタミンK剤の形でとった場合に起こりがちです。皮膚病変や呼吸困難、溶血性貧血、未熟児では重症の黄疸になる例もあります。
成人の許容上限摂取量は30000.(=30mg)です。
ビタミンKを含む食品(mg/100g当たり)
E | |
〈油脂類〉 | |
大豆油 | 210 |
なたね油 | 120 |
〈種実・豆類〉 | |
糸引き納豆 | 870 |
ビスタチオ | 29 |
松の実(いり) | 27 |
湯葉 | 22 |
豆腐(木綿) | 13 |
〈魚介類〉 | |
あわび | 23 |
さば | 5 |
〈肉類〉 | |
若鶏もも | 53 |
若鶏ハツ | 41 |
若鶏レバー | 14 |
牛もも | 6 |
豚もも | 2 |
〈卵類〉 | |
卵黄 | 40 |
卵白 | 1 |
〈乳製品類〉 | |
クリームチーズ | 12 |
普通牛乳 | 2 |
〈野菜・果実類〉 | |
パセリ | 850 |
しそ | 690 |
モロヘイヤ | 640 |
あしたば | 500 |
かぶ葉 | 340 |
おかひじき | 310 |
だいこん(葉) | 270 |
ほうれんそう | 270 |
しゅんぎく | 250 |
こまつな | 210 |
にら | 180 |
ブロッコリー | 160 |
ねぎ(葉ネギ) | 94 |
チンゲンサイ | 84 |
キャベツ | 78 |
さやいんげん | 60 |
かぼちゃ | 26 |
蒼ピーマン | 20 |
ねぎ(深ねぎ) | 78 |
トマト | 40 |
にんじん(根) | 3 |
〈果実・きのこ類〉 | |
殆ど0 | |
〈藻類〉 | |
あまのり(干) | 2600 |
ひじき(干) | 320 |
わかめ(生) | 140 |
こんぶ(干) | 110 |
〈茶・その他〉 | |
抹茶 | 2900 |
紅茶 | 1500 |
せん茶 | 1400 |
せん茶(浸出液) | 32 |