健康維持の補佐役ビタミンB群(B1)
基本的な働き/糖質のエネルギー変換
食事でとった糖質(でんぷん・砂糖など)を体内でエネルギーに変えるときに必要な補酵素が、ビタミンB です。B がないと糖質を分解できず、十分なエネルギーを作ることができません。
特に、エネルギーの半分近くを糖質から得ている我々日本人にとって、B は不可欠なビタミンです。
欠乏症/脚気、ウェルニッケ脳症
B が不足して糖質代謝がとどこおると、疲労物質(乳酸)が貯まって、体がだるい疲れやすいといった症状がでてきます。また、イライラする、落ち着かないなどの神経症状もB 不足が関係すると言う人もいます。
完全に欠乏すると、神経系が障害されて多発性神経炎を引き起こします。多発性神経炎とは、いくつかの神経系に、同時に炎症が起こる病気です。
B 欠乏で末梢神経に異常が起こったのが「脚気」です。一昔前に日本で多発した脚気は、極端に白米(主成分は糖質)に偏った食生活が原因でした。下肢の倦怠感、食欲不振、便秘、心悸亢進などの症状を起こします。近ごろは、スナック類やインスタント食品、甘味飲料の取りすぎによる脚気の発生が報告されています。
一方、欧米に多い「ウェルニッケ脳症」は、B 欠乏で中枢神経に異常が起こる病気です。こちらはアルコール多飲者に多くみられます。
上手な取り方/穀類や豆類に豊富
ビタミンB の栄養所要量は、成人男性で1.1mg、成人女性0.8mgです。ただし、B は、水に溶けやすく熱に弱いため、調理時の損失が大きい点を考慮する必要があります。
また、精製度の高い加工食品ほどビタミンB 含量は少なくなります。例えば、精白米のB 含量は玄米の4分の1以下です。米飯は、糖質が多いのでB の消費量が高いうえに、B 含量も少ないのです。
そのため、加工食品やインスタント食品、甘味飲料ばかりとっている人、外食の多い人などは、B の潜在性欠乏症になりやすいので要注意です。
ビタミンB1を含む食品(mg/100g当たり)
《穀類》 | |
そば粉(全層) | 0.46 |
玄米 | 0.41 |
ライ麦パン | 0.16 |
精白米 | 0.08 |
《種実類》 | |
ひまわり(乾) | 1.72 |
ごま(乾) | 0.95 |
落花生(乾) | 0.85 |
カシューナッツ・いり | 0.54 |
くるみ・いり | 0.26 |
アーモンド(乾) | 0.24 |
《豆類》 | |
きな粉 | 0.76 |
えんどう(ゆで) | 0.27 |
大豆(ゆで) | 0.22 |
絹ごし豆腐 | 0.10 |
糸ひき納豆 | 0.07 |
《藻類》 | |
干しあまのり | 1.21 |
利尻こんぶ | 0.80 |
乾燥わかめ | 0.39 |
水前寺のり | 0.36 |
《魚介類》 | |
たらこ | 0.71 |
ふな | 0.55 |
こい | 0.46 |
すじこ | 0.42 |
うなぎ | 0.37 |
ぶり | 0.23 |
《肉類》 | |
豚ヒレ | 0.98 |
豚もも脂身なし | 0.94 |
すっぽん肉 | 0.91 |
焼き豚 | 0.85 |
豚ロース脂身なし | 0.75 |
豚かた脂身なし | 0.71 |
かも | 0.40 |
豚レバー | 0.34 |
牛サーロイン脂身なし | 0.05 |
《卵類》 | |
卵黄 | 0.21 |
鶏卵(全卵) | 0.06 |
《きのこ類》 | |
乾ししいたけ | 0.50 |
ひらたけ | 0.40 |
まいたけ | 0.25 |
えのきたけ | 0.24 |
《茶》 | |
抹茶 | 0.60 |