健康によいビタミンの本

ハート出版の健康書籍ふるさと文庫の中から、ビタミンに関するものを集めました。

コエンザイムQ10の弱点とγ―CD

CoQ10の三つの弱点
CoQ10を補給することは、健康維持や老化防止などの面でたいへん役立ちます。しかし、従来のCoQ10のサプリメントには、吸収性が低い、光、熱、酸素などに対する安定性が低い、ペプチド類、アミノ酸類や脂肪酸などとの配合変化を起こしやすい、などの弱点が存在することも知られています。
私たちの体内では、水に溶けることにより物質は吸収されやすくなります。一方、CoQ10は脂溶性なので水に溶けにくく、吸収性がよくありません。吸収されないとそのまま体外へ排泄されてしまい、サプリメントを摂取しても、期待どおりの効果が得られないことにもなります。

変換物質の生成と配合変化
また、CoQ10は、光、特に紫外線、熱や空気中の酸素などからの影響を受けやすく、分解・変質し、サプリメント中のCoQ10の含有量が低下するとともに、CoQ10からさまざまな変換物質が生成します。中でも特に、空気中の活性酸素によって酸化された毒性の高い変換物質には、その安全性の問題が懸念されています。
さらに、CoQ10はペプチド類、アミノ酸類や脂肪酸などとの配合変化を起こしやすいので、サプリメントとしての同時配合には十分な注意が必要です。CoQ10に油脂系界面活性剤(乳化剤)を配合したサプリメントは、水に溶けやすくする目的で使用しているのですが、組成分の脂肪酸、特に不飽和脂肪酸はCoQ10よりも簡単に空気で酸化されてしまいます。その不飽和脂肪酸の酸化物は、活性酸素の一種で、CoQ10を酸化してしまうのです。

γ―CDによる包接化が有効
CoQ10の弱点を克服する極めて有効な方法として、γ―シクロデキストリン(cyclodextrin=CD)による「包接化」があります。
CDは環状オリゴ糖ともいわれ、オリゴ糖(単糖類と呼ばれるブドウ糖、果糖などが2~10個結合)の両端がつながり環の形になったもので、その環の大きさの違いから、α、β、γの3種類に分かれます。
γが最も水溶性が高く、βは難水溶性、αとβは難消化性、γは消化性という性質の違いもあります。6個のブドウ糖が環になったα―CDが最も小さく、βはその数が7個、γは8個です。
上の図のように、CDは、フタと底のないカップのような構造であり、その空洞の内径は、いちばん大きいγでも0.9~1.0nm(ナノメートル=10億分の1メートル)と、まさにCDは分子サイズの世界の小さなカップといえます。そして、カップの外側は親水性(水に溶けやすい)なのに、内側は親油性(油に溶けやすい)というユニークな性質を持っています。
さらに、CDにはカップの内側にさまざまな分子を取り込み固定する「包接」作用と、水分の存在によりその分子を徐々にゆっくり放出する「徐放」という作用があります。
CoQ10の弱点の克服に、これらの作用が大いに役立つことが、各種の試験により明らかにされています。



包接コエンザイムQ10

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