健康によいビタミンの本

ハート出版の健康書籍ふるさと文庫の中から、ビタミンに関するものを集めました。

リコピンの発ガン抑制効果

リコピン単独でも有効
 リコピンに注目した私たちの研究グループは、今度はリコピンのみを使って、肝臓ガンに関する実験を試みました。
 結果は左頁の表の通りで、肝臓ガンに対する阻害率は四三%でした。すなわちリコピン単独でも、肝ガンへの抑制効果のあることが証明されたのです。
 続いて、膀胱ガンについても実験をしてみました。阻害率は二六%と、肝臓ガンのときよりも低い数値となっていますが、β‐カロチン投与群のゼロ%に比べれば、膀胱ガンに対する抑制作用のあることがはっきりと見て取れます。
 リコピンはトマトに豊富に含まれているので、トマトジュースを使っての実験も試みました。その結果、やはり発ガン抑制作用のあることが証明され、しかもその効果はリコピン単独の場合よりも強力であることが明らかとなりました。
 実験に用いたトマトジュースは、稀釈してリコピン量が前の実験と同じ〇・〇〇二五%となるように調整してあります。それにもかかわらず、前の実験よりも優れた結果が得られたということは、リコピン以外にも有効な成分が共存していたと考えるのが自然です。
 事実、リコピン以外のカロチノイドやビタミンE、ビタミンCなど、他の抗酸化物質も含有されていることが確認されています。
 以上の結果は、カロチノイドを他のものと複合的に用いることにより、優れた効果が得られる可能性のあることを示しているものとして、重要です。
 さらに、リコピンは肺ガン、大腸ガン、乳ガンなどに対しても抑制作用のあることが明らかになっており、注目されています。




※表省略

各種カロチノイドはガン・眼病対策に効果あり
「各種カロチノイドはガン・眼病対策に効果あり



α‐カロチンの発ガン抑制効果

β‐カロチンを凌ぐ発ガン抑制作用
 α‐カロチンはこれまであまり注目されてきませんでしたが、マウスによる実験では、β‐カロチンをはるかに凌ぐ発ガン抑制作用のあることがわかりました。
 肺の発ガン物質を与えたマウスにα‐カロチンとβ‐カロチンを投与したところ、 頁の表のように、β‐カロチンの阻害率ゼロに対して、α‐カロチンの阻害率は六八%もの高数値を示しました。
 また、皮膚ガンに関しても、マウスを使って実験を行ないました。この実験でもα‐カロチンにはβ‐カロチンよりも、はるかに強いガン抑制効果のあることが判明しました。
 α‐カロチンはβ‐カロチンの半分しかビタミンAに変化しませんが、ガンに関しては強い抑制作用を示すことがわかり、さらに肝臓ガンについても実験を行なうことにしました。
 マウスに投与するのは、α‐カロチン、β‐カロチン、それにパーム油カロチン(α‐カロチン三〇%、β‐カロチン六〇%、その他のカロチノイド一〇%からなるカロチノイドの混合物)です。
 その結果は、ここでもα‐カロチンはβ‐カロチンよりも高い阻害率を示しましたが、注目しなければならないのはパーム油カロチンの強力な肝発ガン抑制作用です。
 パーム油カロチンには、α‐カロチン、β‐カロチン以外のカロチノイドが含まれていますが、詳しく調べてみると、リコピンが四%含まれていることがわかったのです。そこで、リコピンについても実験を行なうことにしました。



※表省略


各種カロチノイドはガン・眼病対策に効果あり
「各種カロチノイドはガン・眼病対策に効果あり




改めて脚光を浴びることになった理由

広がるカロチノイドの研究対象
 β‐カロチンのみに研究対象が絞られていた観のあるカロチノイドでしたが、やがて、それ以外のものにも、研究者の関心が向けられていくことになります。
 その結果、それぞれのカロチノイドに独自の効果、効用のあることが明らかになってきたのですが、これに関しては2章に譲るとして、ここではまず、どのようなカロチノイドが存在するのか、また、それぞれどのような野菜や果物に多く含まれているのか、という点について見ていくことにしましょう。    

色から見たカロチノイド
 野菜や果物にはさまざまな色彩がありますが、大きく色別に分類すると、緑色、黄~赤色、黄~橙色の三種類に分けることができます。それぞれに該当する野菜や果物、そしてそれらに含まれるカロチノイドをまとめると次のようになります。
 《緑色の野菜や果物》
 野菜でいえば、インゲン豆、ブロッコリー、グリンピース、ホウレンソウなどが、果物ではメロンなどがこれに該当します。主に含まれているカロチノイドとしては、β‐カロチン、α‐カロチン、ルテインなどが挙げられます。
 《黄~赤色の野菜や果物》
 サツマイモやカボチャなどは黄色野菜の代表といえるでしょう。これらはβ‐カロチンやα‐カロチンを豊富に含んでいます。また、赤色の野菜や果物といえば、すぐに目に浮かぶのがトマトやスイカです。これらにはリコピン、ζ(ゼータ)‐カロチン、フィトフルエン、フィトエンなどが含まれています。
 《黄~橙色の野菜や果物》
 文字どおり、オレンジを筆頭に、モモやパパイヤなどが該当します。これらにはクリプトキサンチンやゼアキサンチンなどが多く含まれています。

野菜や果物に見るカロチノイドの量
 こうして見てくると、あまり馴染みのないカロチノイドが多数存在していることがわかりますが、ここでは代表的なカロチノイドに絞って、それらが緑黄色野菜や果物にどの程度含まれているのか、見てみましょう。
 表からわかるのは、β‐カロチンやルテインがほとんどの野菜・果物に含まれているということです。そして、両者を比較すると、二、三の例外を除いて、ほとんどの野菜や果物で、β‐カロチンよりもルテインの含有量が勝っています。


※表省略

各種カロチノイドはガン・眼病対策に効果あり
「各種カロチノイドはガン・眼病対策に効果あり



動脈硬化、骨粗鬆症などの予防と改善

脳梗塞などを引き起こす動脈硬化
日本人の死因の上位を占める、狭心症心筋梗塞などの虚血性心疾患や、脳梗塞脳出血などの脳血管疾患の原因となるのが、動脈硬化です。血管壁へのLDL(悪玉)コレステロールの沈着などのために、動脈の厚みが増して硬化し、その結果、弾力性の低下が起こります。
この動脈硬化がさらに進行し、血管が脆く破れやすくなったり、血栓ができて血流が滞ったりすることで、前記のような病気が引き起こされるようになります。
動脈硬化は、脂質異常症(血液中のコレステロール中性脂肪の量が正常値より多い)や高血圧症などがあると起こりやすいことがわかっています。

 

コラーゲンの糖化を抑制
また、糖尿病も動脈硬化の主要な原因の一つです。そのため、糖尿病の人はそうでない人に比べ、虚血性心疾患や脳血管疾患を発症するリスクが高くなります。
さらに、下肢閉塞性動脈硬化症という合併症が現われることもあります。これは足に起こる動脈硬化であり、動脈が詰まることで血液が流れなくなって壊疽を起こし、最悪の場合には足の切断という事態にも至ります。
このような糖尿病を原因とする動脈硬化の発症やその進行には、血管を構成するコラーゲンの糖化による血管障害も関与していると考えられています。したがって、動脈硬化の予防、改善に、コラーゲンの糖化を抑制するように働くR(+)―α―リポ酸は有効といえるでしょう。

 

高齢者に多い骨折やひざの痛み
動脈硬化と同様に、高齢者に多く見受けられるのが骨粗鬆症や変形性関節症です。
骨粗鬆症は、加齢などにより骨量が減って骨が弱くなり、骨折が起きやすくなる病気です。高齢者の場合の骨折は寝たきりにつながりかねないため、たかが骨折と馬鹿にはできません。
骨粗鬆症は、男性より女性に多くみられます。女性は加齢に加え、閉経後に、骨形成を活発にするエストロゲンという女性ホルモンが急激に減少してしまうからです。さらに、もともと女性は男性よりも骨量が少ないことも関係しています。
変形性関節症は、関節の軟骨がすり減り、骨と骨とが直接こすれるために痛みが生じる病気です。原因としては、加齢や肥満などがあげられます。
この変形性関節症の中でも、最も多くみられるのは変形性膝関節症です。高齢者では、ひざの痛みを訴える人の割合が非常に高くなっています。
ひざの不調から、座る、立つ、歩くなどの日常生活の基本的な動作に支障が出るようになると、活動量が減って体力が衰え、ほかの病気を併発しやすくなってきます。

 

骨や軟骨にも存在するコラーゲン
骨はカルシウムだけでできているわけではなく、コラーゲンの網の目の透き間をカルシウムが埋めるような形で出来上がっています。また、軟骨はコラーゲンやヒアルロン酸、プロテオグリカンなどから成り立っています。
骨や軟骨にも存在するコラーゲンの糖化が、骨粗鬆症および変形性関節症の発症やその進行にも、やはり大きく関わっています。

 

 

糖代謝を促進するR体α-リポ酸の包接化で効果アップ
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腎臓の機能低下を防ぐ

糸球体の毛細血管が硬化
腎臓の大切な役目の一つは、体内の老廃物を体外へ排出することです。まず不要となった老廃物は、血液により腎臓まで運ばれます。
その内部にはネフロンと呼ばれる組織が無数に存在し、その一部である毛細血管のかたまりのような糸球体まで血液が到達すると、その場所で濾過が行なわれ、老廃物だけが取り除かれて尿として排出され、血液は体内へ戻っていくという仕組みになっています。
しかし、高血糖状態が続くと、糖化反応により生成、蓄積されるAGEsが糸球体の毛細血管を硬化させてしまいます。
そうなると、糸球体の働きが低下するために老廃物が排出されずに体内に残留したり、「タンパク尿」のように、逆に体に必要なタンパク質が排出されたりするといった腎臓の機能障害が起こってきます。初期の頃には自覚症状は出ず、タンパク尿が進行するとネフローゼ症候群を発症し、むくみなどの症状が現われてくるようになります。

 

糖尿病が人工透析の最大原因
さらに腎臓の機能障害が進むと腎不全となり、最後には、死にも至る尿毒症を避けるために、人工透析による老廃物の除去などの治療が必要となってきます。
こうした腎不全による人工透析のケースにおいて、一番の原因となっているのは糖尿病性腎症であることから、R(+)―α―リポ酸の抗糖化作用が注目されています。

 

 

糖代謝を促進するR体α-リポ酸の包接化で効果アップ
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アルツハイマー病などに有効

発症の早い神経障害
末梢神経や自律神経などに障害が起こる糖尿病性神経障害は、ほかの合併症よりも早い時期にその症状が現われてきます。
末梢神経については、手足のしびれ、感覚の鈍化などがみられ、小さな傷の痛みに気づかずそれを放置し、壊疽になり足を切断という場合もあります。
また、自律神経の症状では、発汗異常、立ちくらみ、便秘または下痢、ED(勃起不全)などがみられるようになります。
これらの神経障害の発症や進行については、糖尿病の高血糖状態下において促進される糖化反応の生成物であるAGEs(11頁)の関与が大きいといわれています。

 

AGEsの生成や蓄積を抑制
高齢者人口の増大に伴う認知症患者の増加は現在、深刻な社会問題ともなっています。認知症では、さまざまな原因で脳に障害が起こり、それにより生じる記憶障害や理解力、判断力の低下などのために日常生活に支障をきたすようになります。その結果、患者本人ばかりでなく、その介護者もまた心身ともに大きな負担を強いられるような状況が生まれてくるからです。
こうした認知症を引き起こす病気の一つとしてあげられるのが、脳の神経細胞が徐々に死滅し減少していき、脳の委縮が発生するアルツハイマー病です。この病気は、糖尿病により発症のリスクが高まることが知られています。
とはいえ、アルツハイマー病の原因はまだはっきりと解明されているわけではありません。しかし、この病気にも糖化が深く関与し、脳におけるβアミロイドなどのAGEsの蓄積が神経機能に障害を与えることが原因の一つと考えられています。
以上のように、末梢神経および自律神経の糖尿病性神経障害も、アルツハイマー病も、AGEsの生成とその蓄積による関与が考えられるため、糖代謝を促進して糖化反応を抑制するように働くR(+)―α―リポ酸には、予防および改善の両面から、効果が期待されています。

 

糖代謝を促進するR体α-リポ酸の包接化で効果アップ
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包接化で生体利用能が向上

生体利用能が低い脂溶性物質
コエンザイムQ10、クルクミン、アスタキサンチントコトリエノールなどの脂溶性物質は生体利用能が低いという弱点があります。難水溶性で消化管からの吸収性が悪く、血液中に十分に到達できないので、必要とする組織などに運ばれず、せっかく摂取しても体内での利用率が上がらないのです。

 

吸収性と持続性が高まる
環状オリゴ糖とも呼ばれるγ―CD(シクロデキストリン)は底のないカップ状をしており(17頁参照)、その内側は疎水性を、外側は親水性を示し、疎水性の物質をカップ内に取り込み固定します。これを「包接」と呼びますが、γ―CDによる包接化で、前述の脂溶性物質の吸収性と持続性(血液中にとどまる時間)が高まり、生体利用能が向上することがこれまでに確認されています。
吸収性と持続性のどちらか一方だけが高まっても、生体利用能の向上はあまり望めません。包接化のよさは、両方が高まるところです。
同じ脂溶性物質であるα―リポ酸も同様です。健常人二四人による臨床試験において、包接化により生体利用能が絶食時、食事摂取時ともに有意な向上がみられました。
 特に持続性の指標であるT1/2(ティー・ハーフ=最高血中濃度が半減するまでの時間)が未包接α―リポ酸の二五~三二分に対し、包接α―リポ酸では七時間以上と大幅に伸び、通常はα―リポ酸が吸収されにくい食後でも吸収性と持続性が高まることが確認されました。

 

生体利用能向上のカギは胆汁酸

 包接化により吸収性と持続性が高まり、生体利用能が向上するのは、なぜでしょうか。
 γ―CDはもともと水溶性物質ですが、他の物質を包接して包接体となると不溶性に変化し、消化酵素のアミラーゼで分解されなくなります。しかし、そこに胆汁酸が加わると、包接されているα―リポ酸が乳化され、徐々にγ―CDから消化管内に放出されるとともに、γ―CDもアミラーゼによりゆっくりと分解され、消化されていくようになるためと考えられます。

 

糖代謝を促進するR体α-リポ酸の包接化で効果アップ
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糖代謝に関わるα―リポ酸

ミトコンドリア中に存在
「チオクト酸」とも呼ばれるα―リポ酸( ―lipoic acid)は、私たちの体を構成する各細胞内のミトコンドリアという小器官の中に存在する物質です。
 細胞内では、糖質、脂質、タンパク質などの栄養素を利用して「解糖系」「TCA回路(クエン酸回路)」「電子伝達系」という三段階の反応過程において、ATP(アデノシン三リン酸)という物質が生成されます。中でも電子伝達系では大量につくられます。このATPがADP(アデノシン二リン酸)とリン酸一分子に分解するときに発生するエネルギーこそが、私たちの生命活動を支えています。
 ミトコンドリアは細胞内に五〇~二五〇〇ほど存在し、その内部でTCA回路および電子伝達系の化学反応が行なわれています。生命活動に必要なエネルギーのほとんどが、このミトコンドリアで産生されます。


補酵素としてATPの生成に関与
 α―リポ酸は、こうしたミトコンドリア内の一連のエネルギー産生の過程で大変重要な働きをしています。
 解糖系の段階で糖質、脂質、タンパク質のそれぞれからつくられたピルビン酸からTCA回路で利用されるアセチルCoA生成を促進する作用やTCA回路内での補酵素としての働きがあり、ATPの生成には必要不可欠な物質なのです。
糖質、脂質、タンパク質のうち、最もエネルギーになりやすいのは糖質で、この糖質の代謝(体内で化学物質が合成されたり、分解されたりする過程のこと)に、α―リポ酸は深く関わっているのです。


補給にはサプリメントが最適
 α―リポ酸は体内で合成されています。しかし、加齢に伴いその合成能は低下するため、不足分は体外から補給しなければならなくなります。
 その場合、食物から補給するのが基本ですが、α―リポ酸を含むレバーやホウレンソウ、ニンジン、トマト、ブロッコリーなどの野菜類にしても、その含有量は微量にすぎません。したがって、α―リポ酸を効率的に補給するには、サプリメントの利用が最適といえるでしょう。

 

 

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肥満が引き起こすさまざまな症状

肥満がもたらす疾病
いまやアメリカではα―リポ酸のサプリメントが一大ブームになっています。その理由は先に見たような数々の効能があるからですが、それだけでなく、ダイエットの補助食品としても持てはやされています。
肥満の体型というのは、外見や美容面で気になるものですが、もっと気にしなくてはいけないのは健康上の問題です。
体に余分な脂肪が蓄積すると、血液中の脂質の量が増えることになります。脂質(コレステロール中性脂肪)はやがて血管を細めて、血液の流れを阻害するようになります。これが動脈硬化の要因ですが、一方、心臓では必死になって体の組織に血液を送り込もうとします。そこで生じるのが高血圧です。
さらに、血管が細くなると、血管壁に血液が凝固して、血栓を作るようになります。この血栓の場所によって、病名は心筋梗塞脳梗塞などに分かれるのですが、いずれにしても生命にかかわる恐ろしい病気であることに変わりはありません。
また、血液中の脂質は内臓にも蓄積されていきます。これは内臓脂肪型肥満と言われるものですが、これも動脈硬化を引き起こす元凶となることは言うまでもありません。

食事と運動とサプリメント
俗に「死の四重奏」と言われるものがあります。高血糖値、高血圧、高中性脂肪血症、それに肥満の四つです。これらが相乗的に高まって、悪い方向に向かっていくと、致死率が非常に高くなります。
肥満は、それ以外の病因もかかえ、まさに死の四重奏をかなでているような状態と言えるのです。
肥満そのものが原因で命を落とす人はいないでしょう。問題となるのは、肥満がもたらす内臓などへの影響なのです。心臓や肝臓、腎臓といった臓器の機能低下。そのもともとの原因は肥満にあるのです。
したがって、生活習慣病の呼び込みとなるような死の四重奏を一つひとつ減らしていくことが重要になるのですが、そのためには、体内におけるエネルギーの生産とその捌け口とをバランスよく保つことが必要になります。
すなわち、常に栄養バランスのよい食事を心掛け、エネルギー代謝を促進させるために適度な運動をする、という点が大切になってきます。
そしてもう一つ。食事だけでは不足しがちなミネラルやビタミンCといった微量元素を、栄養補助食品として摂取する、ということです。
外部から取り入れたい微量元素の中には、本書のα―リポ酸も含まれることは言うまでもありません。
α―リポ酸はすでに見てきたように、エネルギー代謝を促進させる上で、なくてはならない成分だからです。

 

ダイエットとアンチエイジングを進める抗酸化ネットワーク
「α-リポ酸で代謝促進、酸化と肥満に勝つ」のさらに詳しいページを見る

 

糖尿病とはどんな病気か

血糖値の上昇
血糖とは、血液中のブドウ糖のことです。インスリン膵臓から分泌されるホルモンで、血糖値を一定範囲内に保つ働きをしています。
食事から摂った糖は腸壁から吸収され、血液中に溶け込みます。このとき一時的に血糖値が上昇します。すると、インスリンが分泌され、血糖を各細胞が受け取り利用するように促します。その結果、血糖値はもとの範囲内に下がってくるようになります。
このように、インスリンが正常に機能していれば何の問題もありません。ところが、インスリンの分泌量が減少したり、作用が弱まったりすると、細胞への糖の受け渡しがうまく行なわれなくなり、血液中に糖が残留し始めるという困った事態に陥ります。
こうして、どんどん糖が残留し続けることで、慢性的に血糖値が上昇し、尿にまで糖が出てきてしまうようになるのが糖尿病です。

Ⅰ型とⅡ型の糖尿病
日本での糖尿病患者数は、予備軍をあわせると1370万人と言われ(1997年、厚生労働省調査)、子供も含めると10人に1人が罹患している計算になります。
この糖尿病には、Ⅰ型とⅡ型の二つのタイプがあります。Ⅰ型は若年性の糖尿病で、比較的若い年齢層で発症するという特徴があります。膵臓が何らかの原因で障害を受け、インスリンを分泌できなくなってしまうことにより起こります。
このタイプではインスリンの投与が必要となるので、インスリン依存型糖尿病とも呼ばれています。日本の糖尿病の患者さんの約5%が、このⅠ型です。
一方、Ⅱ型は中年以降の年齢層に多く見られるタイプのもので、遺伝的要素に過食や肥満、ストレス、運動不足などの、いわば悪しき生活習慣が加わることで発症します。つまり、生活習慣病ということになります。
この場合には必ずしもインスリンの投与は必要としないので、インスリン非依存型糖尿病とも呼ばれます。このタイプは、初期の段階なら食事療法と運動療法とで治すことも不可能ではありません。そのためには、早期発見、早期治療が不可欠です。

自覚症状がない恐ろしさ
日本人に多いⅡ型糖尿病は、生活習慣病という名のとおり、長い間の不健康な習慣や生活態度が積み重なって発症し、徐々に進行していくわけですが、その間に明らかな自覚症状があれば、それまでの習慣や生活態度を改めて進行を食い止めることも可能です。
ところが、自覚症状が乏しいためにいつの間にか病状が進行してしまい、だるい、のどが渇く、トイレの回数が増えた、やせてきた、体がかゆいなどの自覚症状が出てきたときには、相当に進行してしまっているというのが、この病気の非常に恐ろしいところです。
繰り返しますが、初期の段階で治すには早期発見、早期治療が不可欠なわけで、それを可能にするためには定期検診を受けることが大切になります。そして、検診の結果、糖尿病と診断されたらすみやかに治療に専念すべきです。
それを怠ると、次項で述べるようないろいろな合併症に悩まされることになってしまいます。

 

ダイエットとアンチエイジングを進める抗酸化ネットワーク
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ストレスが活性酸素を生み出す

α―リポ酸で活性酸素から身を守る
活性酸素を発生させながら生活している私たちの体には、もともとその害から身を守るための防御システムが備わっています。
それは、SOD(スーパーオキシドディスムターゼ)をはじめとする抗酸化酵素を合成する能力ですが、残念なことに加齢に伴いその能力は衰えてしまいます。
そこで、それを補うために、外部から食品として抗酸化物質を取り入れなければなりません。食物に含まれる抗酸化物質としてよく知られているのは、緑黄色野菜に多いβ―カロチン、ビタミンE、ビタミンCです。
これらのうち、β―カロチンとビタミンEは脂溶性、ビタミンCは水溶性という性質をもっているため、それぞれ体のすべての部分で抗酸化作用を発揮できるというわけにはいきません。
それに引き替えα―リポ酸は水溶性でもあり脂溶性でもあるという大きな特徴をもつ抗酸化物質です。
そのため、体のあらゆる部分で抗酸化作用を発揮できるという、他の抗酸化物質には見られない非常に優れた点があるのです。

ストレスに伴うさまざまな症状
前項の表で示したように、ストレスによっても活性酸素は生み出されます。ストレスから病気になったという話をよく聞きますが、決してあり得ないことではなく、むしろ、誰もが気をつけなければならないことなのです。
私たちがストレスを感じるのは、「窮鼠、猫をかむ」ではありませんが、仕事にせよ、人間関係にせよ、何らかの問題に直面して、逃げ出すかそれとも闘うべきか、厳しい二者択一を迫られるような状況においてでしょう。
そのようなときには、神経を興奮させるホルモンであるアドレナリンの量が増え、より多く体内に酸素を取り入れようとします。心臓の鼓動が高まるのはそのためです。
また、体内ではグリコーゲンやアミノ酸などを使ってエネルギーとして動員させようとします。そのときに、まさに活性酸素が生成されるのです。
切羽詰まった状況になると、私たちは体の筋肉部分にエネルギーを集中させようとしますが、その分、他の体の部分は血行が悪くなります。皮膚が青ざめたりするのはこのためです。
また、ストレスを感じると食欲がなくなり、腸のぜん動運動も低下するので、便秘症状を起こしやすくなります。
ストレスでは、一時的にやせることもあります。
昆虫のセミは逃げるときにオシッコを出して、さっと飛び立ちますが、これはストレスが加わったときに、瞬時に体重を減らすようになっているからです。
私たち人間でも、ストレス状態では体の諸機能が落ちるので、便にしても緩くなったり、また、生殖機能が低下したりすることがよくあります。

ストレスが生む活性酸素の害
人間が取り入れる酸素のうち、最低でも2%は活性酸素と言われていますが、ストレス時には、通常のそうでないときよりも、活性酸素の量が格段に多くなることが分かっています。
そのため、胃の粘膜に穴が開くとか、脱毛現象などが生じます。よくストレスで髪の毛が白くなった、胃潰瘍になった、といった言葉を耳にしますが、その原因はまさに活性酸素というわけです。
また、抗ガン剤を使った治療のために髪の毛が抜けてしまうことがありますが、抗ガン剤はいわば活性酸素でガン細胞を攻撃するわけですから、その副作用のせいで脱毛現象が起きるのです。

現代人には抗酸化サプリが必要
20~30年前に比べても、私たちは、はるかに多くのさまざまなストレスにさらされています。
その一つの原因として、IT関連機器の発達とその普及ということが考えられます。
一例を挙げれば、携帯電話です。携帯電話の普及により私たちの生活様式は大きく変化しました。特にビジネスの環境においては、互いに連絡が密に取れるということで、働く人に対する管理体制が強化されました。そうなると当然、ストレスも増えてきます。
そうしたストレスだらけの環境の中で健康を取り戻すには、昔の野菜中心の健康食生活に戻すのが大事、という意見も聞かれますが、単に以前の食生活に戻せば、問題解決というものではありません。
現在の私たちにとっては、それだけでは不十分と言わざるを得ないのです。
ストレスとの闘いに勝っていくためには、食生活を見直すだけでなく、ストレスに立ち向かえるだけの武器を身につけなければなりません。
その一つとして注目したいのが抗酸化サプリメントであり、その代表格とも言えるものがα―リポ酸なのです。

 

ダイエットとアンチエイジングを進める抗酸化ネットワーク
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α―リポ酸の可能性

ビタミンCを凌ぐ抗酸化力
抗酸化物質として一躍注目されるようになったα―リポ酸ですが、その抗酸化力は強力で、ビタミンCやビタミンEの数百倍とも言われています。
これはあくまで実験における数値ですが、人の体内においても、少なく見積もっても、その十分の一、すなわちビタミンCやEの数十倍の抗酸化力を発揮できるのではないでしょうか。

アンチエイジングの切り札
高齢化社会を背景に「アンチエイジング」という風潮が高まってきました。
アンチエイジングとは「抗老化」、すなわち、老化の進行をストップさせる、あるいは、その進行を緩めるという意味で、私たち人間にとってはまさに究極の願いとも言えるでしょう。
不老長寿は、遠い昔から誰もが憧れ、その秘薬を追い求めてきたものですが、現代で言えば、その切り札の一つがα―リポ酸であると言っても過言ではありません。
なぜなら、老化という現象もまた、体内における「酸化」が引き金になって起きるからです。
老化は体力の衰えとともに、肌のシワやシミとなって現れてきます。とりわけ女性にとって、α―リポ酸は心強い味方と言えるでしょう。

強力な解毒作用
また、α―リポ酸には強力な解毒作用のあることも分かっています。体内に摂取した有毒物質をすみやかに処理し、その作用を抑え込むというものです。
金属性の毒物やキノコなどに含まれる有毒性の物質に働きかけ、その作用の消失を促進させる機能をもっています。
実際にアメリカでは、キノコ中毒の患者にα―リポ酸を投与して、死亡率を大幅に激減させたという報告も残っています。

糖尿病の合併症を抑える
さまざまな効能を秘めたα―リポ酸ですが、特筆すべきは糖尿病に対して、優れた効き目を現すという点です。
詳しくは第3章で述べますが、糖尿病は膵臓で作られるインスリンというホルモンの出方が悪くなったり、効き方が低下してしまう病気です。
インスリンがスムーズに機能しなくなると、体内での糖の代謝が思うようにいかなくなります。
そこで、そのまま放置すると、網膜症、腎症、神経障害といった合併症を引き起こすことにもなりかねません。
とりわけ神経障害の場合、手足の痺れ・痛み、立ちくらみや味覚障害などの症状を経て、神経の麻痺という症状にまで進むことも珍しくありません。
その結果、自覚しないままに足先に壊疽を起こしたりして、最悪の場合には切断を余儀なくされたり、命まで奪われてしまうという恐ろしい病気です。
神経が冒され、無自覚のうちに病状が進行することから、糖尿病は「サイレントキラー」などと呼ばれますが、α―リポ酸は、その強力な抗酸化力で活性酸素の害を抑え、糖尿病の進行を遅らせます。
このためドイツでは、長年にわたり、α―リポ酸は糖尿病の合併症の治療薬として使用されてきました。

 

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体の代謝に欠かせない物質

ミトコンドリアは車のエンジン
私たちの体は約60兆個もの細胞から成り立っています。その一つひとつが栄養素と酸素を取り込んで細胞を維持し、また筋肉や骨などの新しい細胞を作り出しています。
体に取り込まれた栄養素は酸素と反応し、血や肉となるわけですが、こうしたエネルギーを生み出す過程を「エネルギー代謝」と呼んでいます。エネルギー代謝は細胞内の「ミトコンドリア」という組織で活発に行なわれています。
ミトコンドリアはクルマで言えばエンジンのようなもので、糖質や脂肪などの燃料が供給されると、酸素と反応して(酸化して)エネルギーを生み出すことになるのです。

エネルギーの元になるATP
ミトコンドリアは、生命を維持する上で非常に大切な器官の一つですが、ここで最終的に作られるのが「ATP(アデノシン3リン酸)」という物質です。
ATPはエネルギーの元になるもので、これがなくては人は生きることができません。さらに体内に貯めておくことができないので、細胞内のミトコンドリアでは、常にATPを作り続けることになるのです。
このATPを作る過程は「クエン酸回路(クレブス回路)」と呼ばれますが、クエン酸回路の機能そのものがスムーズに働いていないと、だるい、疲れやすい、動悸がするなどの変調をきたしたり、さらには生活習慣病などの疾病を引き起こしたりすることにもなりかねません。
この大事なクエン酸回路に直接作用し、活性化を促すのがα―リポ酸なのです。

水溶性・脂溶性のα―リポ酸
クエン酸回路に働きかけ、ATPの生産効率を高める物質は数多くありますが、その中でもα―リポ酸の作用は飛びぬけていると言えるでしょう。
というのも、他の物質が水溶性あるいは脂溶性のいずれか一方に偏っているのに比べて、α―リポ酸はその両方の性質を兼ね備えているからです。このため体内のすべての細胞内に自在に入り込むことができるのです。

 

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シミ、シワを防ぐ最高の特効食品

一重項酸素をすみやかに消去
加齢にともなう肌のダメージのうち、9割以上は太陽の紫外線が原因といわれています。紫外線をむやみに浴びると、皮膚の中に多量の活性酸素が発生し、シワやシミ、たるみの原因になるのです。
活性酸素にはいくつか種類がありますが、紫外線によって発生するのは「一重項酸素」です。
アスタキサンチンは、この一重項酸素に対して絶大な抗酸化パワーを発揮します。その力は、食品成分の中で群を抜いています(図)。


抗酸化剤の一重項酸素消去能

抗酸化剤 反応速度定数
アスタキサンチン 5.4
β-カロテン 1.1
コペン 3.4
ルテイン 2.1
ゼアキサンチン 3.4
ビタミンC(アスコルビン酸 0.00089
ビタミンE(α-トコフェロール 0.049
α-リポ酸 0.072
コエンザイムQ10 0.0068
クルクミン 0.0036
カテキン(エピガロカテキンガレート) 0.0096
レスベラトロール 0.0018
セサミン 0.0012
エダラボン 0.0067




肌の弾力、シワの改善に
一重項酸素を消し去るアスタキサンチンは、シワの改善に最適です。
動物実験では、皮膚に18週間にわたって紫外線(UVB)を毎日照射し、アスタキサンチンを1日2回塗布したところ、肌の弾力の低下やシワの形成が抑えられたといいます。
28名の女性(20~55歳)に、アスタキサンチンの摂取とともに、アスタキサンチン配合の美容液を8週間使用してもらった研究もあります。
それによると、シワの深さが浅くなり、目尻のシワ、肌のきめが改善されたと報告されています。
さらに、11名の女性にアスタキサンチン配合のクリームを3週間使用してもらった研究では、8名の女性で肌の水分量がアップし、目の下のクマが消えたり、肌にハリが出てきたという声が聞かれたそうです。

シミにもここまで効く
シミに対しても、アスタキサンチンは大きな効果を発揮します。
シミは、メラニンという黒い色素が表皮に沈着してできます。メラニンは、紫外線の刺激で主に生み出されますが、通常は表皮のターンオーバーで自然に消えていきます。
ところが、加齢によってターンオーバーが衰えたり、紫外線をくりかえし浴びていると、メラニンが残って沈着しやすくなるのです。
アスタキサンチンの効果は、20~30代の人を対象にした次のような研究で確認されています。
それによると、皮膚にアスタキサンチンを塗って、24時間後に紫外線(UVB)を照射し、そのあともう一度アスタキサンチンを塗って8時間後にふき取り、1週間後の肌の変化を調べています。
その結果、アスタキサンチンを塗った部分では、メラニン色素の沈着が明らかに抑えられたそうです。
すでにできてしまったシミにも、アスタキサンチンは奏効します。
女性29名を対象とした研究では、8週間アスタキサンチンの摂取とあわせて、アスタキサンチン配合の美容液を使ってもらったところ、シミ・ソバカスに対し、約6割に改善がみられたと報告されています。
女性にとってアスタキサンチンの抗酸化力はとても心強いものです。


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糖尿病の予防と改善に

糖尿病とはどういう病気か
アスタキサンチンは、糖尿病の食事療法にもおすすめの食品です。
糖尿病は、血液中に糖が必要以上に増えてしまう状態をいいます。
通常、食事でとった糖は、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンの働きで、随時、全身の細胞へエネルギー源としてとりこまれていきます。
ところが、何らかの原因でインスリンの分泌が減ったり、働きが鈍くなると、血液中に糖が残って血糖値が上がってしまうのです。

高血糖の背景に活性酸素
糖尿病には、Ⅰ型とⅡ型がありますが、いずれも活性酸素が深く関与して発生します。
Ⅰ型は、活性酸素によって膵臓が障害され、インスリンの分泌が停止したり、激減することで起こると考えられています。
これに対してⅡ型は、膵臓からのインスリンの分泌は正常に保たれているものの、それを受け取る側の細胞が活性酸素に障害され、糖がうまく利用されずに血液中に残ってしまうために起こります。

アスタキサンチンの効果
高血糖の状態が長く続くと、動脈硬化が急速に進んでさまざまな合併症が引き起こされてきます。
糖尿病性の腎症、網膜症、神経障害はその代表です。
また、動脈硬化が進んで、心臓の冠動脈が詰まれば心筋梗塞、脳の血管が詰まれば脳卒中へとつながる危険性も高まります。
アスタキサンチンの抗酸化パワーは、膵臓や細胞を活性酸素から守る上でも有効です。
さらに、糖尿病のマウスを使った実験では、アスタキサンチンの投与で血糖値が下がったり、初期の腎症や、糖尿病に伴いやすい白内障が抑えられる効果もみられています。

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